フルマラソン 目標時間別トレーニング方法

マラソン・トレーニングのペース

マラソンの練習では、目的に応じていくつかのペースを使い分けることが大切です。

まず「Mペース(Marathonペース)」は、フル本番の平均ペースで走る練習です。レースを想定した走りを体に覚えさせ、本番で最後まで押し切るための脚を作ります。

次に「Tペース(Thresholdペース)」は、20〜40分間維持できるややきつい強度で走ります。これは乳酸がたまるのを遅らせ、スピード持久力を高める効果があります。

「Iペース(Intervalペース)」は、3〜5分間だけ続けられる強度で走るスピード練習です。主にインターバル走で取り入れ、最大酸素摂取量(VO₂max)を鍛えることにつながります。

「Eペース(Easyペース)」は、会話ができるほどの余裕を持った楽なペースです。疲労を抜きつつ有酸素能力の基盤を作るため、練習の大部分を占める基本ペースとなります。

そして「ロング走」は、25〜35kmを中心にE〜Mペースで走る練習です。長時間動き続けるスタミナを養うだけでなく、補給の確認やメンタル面の準備も含め、本番を想定した重要な練習となります。

 

マラソン練習において、ペース走を取り入れないといくつかのデメリットがあります。

まず一つは 「本番のペース感覚が身につかない」 ことです。普段ジョグやインターバルばかりでは、フルマラソンで狙う一定のペースを体に覚え込ませることができず、レース当日にオーバーペースやペースダウンにつながりやすくなります。

二つ目は 「持久的な筋持久力が不足する」 ことです。Eペースは楽すぎ、Iペースは短すぎるため、マラソン特有の「そこそこ速いペースで長く走る脚力」を養えません。結果として、30km以降の失速リスクが高まります。

三つ目は 「乳酸処理能力が鍛えられない」 ことです。Tペース走やMペース走は、乳酸が少しずつたまる状況で走る練習です。これを繰り返すことで、体が乳酸をエネルギーとして再利用する能力が高まりますが、ペース走をしないとその機能が伸びにくくなります。

つまり、Eペースやインターバルだけでは「マラソンの中間強度」で戦うための練習が不足し、本番の再現性が低くなるのです。

 

マラソンの練習では、さまざまなペースを組み合わせることで総合的に走力を高めていきます。

まず Mペース(Marathonペース) は本番での平均ペースにあたります。このペースで練習することで、42.195kmを走り切るための「ペース感覚」と「スタミナ」を身につけることができます。

次に Tペース(Thresholdペース) は、ややきつい強度で走る練習です。ここでは乳酸処理能力が鍛えられ、疲労の蓄積を抑えられるため、マラソン後半の失速を防ぐ効果があります。

Iペース(Intervalペース) は、短時間で心肺に負荷をかけるスピード練習です。これにより最大酸素摂取量(VO₂max)が向上し、同じペースで走っても「余裕を持って走れる」力がつきます。

一方、Eペース(Easyペース) は会話ができるくらいの楽なペース。基礎的な有酸素能力を養い、疲労回復を促しながら走行距離を積み重ねることができます。ケガのリスクを抑えつつ、練習の土台を作る重要なペースです。

最後に ロング走 は、25〜35kmを中心とした長時間の練習です。脚を長く動かすことで「脚作り」ができるだけでなく、体内のグリコーゲンを効率的に使う力(glycogen管理能力)が鍛えられ、30km以降の粘りにつながります。

マラソントレーニングを家づくりにたとえると、Eペースとロング走は「地盤」です。しっかりとした土台がなければ、いくら強度を上げても崩れてしまいます。長く走る力や有酸素の基礎は、ここで養われます。

その上に積み上がるのが、Tペース=「耐久力の壁」です。乳酸処理能力を高めることで、長時間そこそこの強度で走り続けられる体ができあがります。マラソン後半に粘れるかどうかは、この壁の強さにかかっています。

さらに上には、Iペース=「天井(心肺能力)」があります。インターバルで心肺機能を押し上げることで、走力全体の上限が高まり、他の練習がより余裕を持って行えるようになります。

そして最後に、Mペース=「実戦力」です。実際の本番ペースに体を慣らし、42.195kmを走りきるための感覚とスタミナを仕上げていきます。

つまり、地盤が安定し、壁がしっかりと立ち、天井が高まることで、実戦力としての家が完成するのです。

 

期分け練習

フルマラソンのトレーニングは大きく 基礎期 → 鍛錬期 → 直前期 の3ステージに分けます。

 

基礎期(12〜16週前)

  • 目的:有酸素土台づくり、長く走る習慣を作る
  • 内容:Eペース走、ロング走中心。スピード練習は軽め。

 

鍛錬期(8〜12週前)

  • 目的:レースペースへの対応力、スピード持久力UP
  • 内容:Mペース走、Tペース走、インターバルを週1ずつ。週末はM走+ロング走のセット練習。

 

直前期(2〜3週前〜本番)

  • 目的:疲労抜き(テーパリング)、調子のピーク化
  • 内容:走行距離を減らし、短めのMペース走や刺激入れで本番感覚を維持。

目標タイム別ペース設定

サブ3ランナー向けペース設定

Mペース(Marathon):4’10〜4’15/km

Tペース(Threshold):3’55〜4’00/km

Iペース(Interval):3’30〜3’35/km

Eペース(Easy):5’15〜6’00/km

ロング走:25〜35km(E〜Mペース)

サブ3.5ランナー向けペース設定

Mペース(Marathon):4’55〜5’00/km

Tペース(Threshold):4’40〜4’45/km

Iペース(Interval):4’15〜4’20/km

Eペース(Easy):6’15〜6’45/km

ロング走:20〜32km(E〜Mペース)

サブ4ランナー向けペース設定

Mペース(Marathon):5’35〜5’45/km

Tペース(Threshold):5’15〜5’20/km

Iペース(Interval):4’50〜4’55/km

Eペース(Easy):6’45〜7’30/km

ロング走:20〜30km(E〜Mペース)

6時間制限・完走狙い向けペース設定

Mペース(Marathon):8’20〜8’30/km

Eペース(Easy):9’00〜9’30/km

 会話できる余裕度で。練習はここ中心

ロング走:15〜25km(8’30〜9’30/km)

 長時間動き続ける習慣づくりが最大の課題

※Tペース・Iペースは基本不要。

→ このレベルでは「速さ」より「動き続けること」「故障なく距離を踏むこと」が優先。

目標タイム別トレーニングPLAN

サブ3ランナー用・期分け練習プラン

① 基礎期(有酸素土台づくり:12〜16週前)
  • 目的:有酸素能力の向上、走行距離の積み上げ、故障リスクの低い強度で基盤づくり
  • 週間走行距離:60〜75km

週の例

 月:Eペース 40〜60分

 火:Iペース軽め(1000m × 4〜5本)

 水:Eペース 60分

 木:Tペース 4〜5km(やや余裕を残す)

 金:オフ or ジョグ

 土:Eペース 90分

 日:ロング走 25〜28km(E〜Mの手前)

 ポイント:量を増やすことが優先。質は控えめ

② 鍛錬期(実戦力アップ:8〜12週前)
  • 目的:Mペース耐性、乳酸処理能力、スピード持久力の強化
  • 週間走行距離:70〜85km

週の例

 月:Eペース 40分

 火:Iペース(1000m × 5〜6本)

 水:Eペース 60分

 木:Tペース走 20〜25分(3’55〜4’00/km)

 金:オフ or 軽ジョグ

 土:Mペース走 14〜18km(4’10〜4’15/km)

 日:ロング走 28〜32km(後半Mペースに移行)

 ポイント:質と量を両立。週末2連戦(土M走+日ロング)がカギ。

③ 直前期(テーパリング期:2〜3週前〜本番)
  • 目的:疲労抜き、走力のピーク化、フレッシュな状態でスタートラインに立つ
  • 週間走行距離:40〜55km

週の例(大会2週前)

 月:Eペース 40分

 火:Iペース軽め(1000m × 3〜4本)

 水:Eペース 40〜50分

 木:Tペース走 15〜20分

 金:オフ

 土:Mペース走 10〜12km

 日:ロング走 20〜22km(Eペース中心)

 ポイント:走行距離を減らすが、スピード刺激は継続。疲労を抜きつつ調子をキープ

サブ3.5ランナー用・期分け練習プラン

① 基礎期(有酸素土台づくり:12〜16週前)
  • 目的:長く走れる体づくり、故障しにくい体力基盤を養成
  • 週間走行距離:50〜65km

週の例

 月:Eペース 40〜50分(キロ6’00〜6’30)

 火:Iペース軽め(1000m × 4〜5本/4’15〜4’20/km)

 水:Eペース 50〜60分

 木:Tペース 4〜5km(4’35〜4’40/km)

 金:オフ or 軽ジョグ

 土:Eペース 70〜80分

 日:ロング走 22〜26km(Eペース中心)

 ポイント:まずは走る習慣とボリューム確保。Mペースはまだ少なめ。

② 鍛錬期(実戦力アップ:8〜12週前)
  • 目的:Mペース耐性の獲得、LT向上、スピード持久力アップ
  • 週間走行距離:55〜70km

週の例

 月:Eペース 40分

 火:Iペース(1000m × 5本/4’15〜4’20/km)

 水:Eペース 50〜60分

 木:Tペース走 20分 or 5km(4’35〜4’40/km)

 金:オフ or 軽ジョグ

 土:Mペース走 10〜14km(4’55/km)

 日:ロング走 25〜30km(後半にMペース導入)

 ポイント:Mペース走とロング走で「本番の脚」を作る。

③ 直前期(テーパリング期:2〜3週前〜本番)
  • 目的:疲労を抜き、フレッシュに仕上げる
  • 週間走行距離:35〜50km

週の例(大会2週前)

 月:Eペース 40分

 火:Iペース軽め(1000m × 3〜4本)

 水:Eペース 40〜50分

 木:Tペース 15分 or 3〜4km

 金:オフ

 土:Mペース走 8〜10km(4’55/km)

 日:ロング走 18〜22km(Eペース中心)

 ポイント:距離は減らし、Mペースのリズムを維持

サブ4ランナー用・期分け練習プラン

① 基礎期(有酸素土台づくり:12〜16週前)
  • 目的:まずは「長く動き続けられる体」をつくる
  • 週間走行距離:40〜55km

週の例

 月:Eペース 30〜40分(キロ6’30〜7’00)

 火:Iペース軽め(800m × 4〜5本/4’50〜 5’00/km)

 水:Eペース 40〜50分

 木:Tペース 3〜4km(5’15〜5’20/km)

 金:オフ or 軽ジョグ

 土:Eペース 60〜70分

 日:ロング走 18〜24km(Eペース中心)

ポイント:習慣化+脚作り。強度よりも距離・時間を重視。

② 鍛錬期(実戦力アップ:8〜12週前)
  • 目的:Mペースで走る脚を作る、持久力と乳酸処理能力UP
  • 週間走行距離:45〜60km

週の例

 月:Eペース 30〜40分

 火:Iペース(800m × 5〜6本/4’50〜5’00/km)

 水:Eペース 40〜50分

 木:Tペース走 15〜20分(5’15〜5’20/km)

 金:オフ or 軽ジョグ

 土:Mペース走 8〜12km(5’40/km)

 日:ロング走 22〜28km(後半Mペース導入)

ポイント:Mペース走+ロング走が勝負どころ。

③ 直前期(テーパリング期:2〜3週前〜本番)
  • 目的:疲労を抜き、体調をピークに持っていく
  • 週間走行距離:30〜40km

週の例(大会2週前)

 月:Eペース 30分

 火:Iペース軽め(800m × 3〜4本)

 水:Eペース 30〜40分

 木:Tペース 10〜15分(5’15〜5’20/km)

 金:オフ

 土:Mペース走 6〜8km(5’40/km)

 日:ロング走 14〜18km(Eペース中心)

ポイント:走行距離はぐっと減らすが、ペース感覚は維持。

マラソン6時間完走ランナー用 期分けプラン

① 基礎期(有酸素土台づくり:12〜16週前)
  • 目的:長時間動ける体と心肺をつくる
  • 週間走行距離:20〜30km

週の例

 月:オフ(ストレッチ)

 火:ジョグ 20〜30分(キロ7’30〜8’30)

 水:ウォーキング or 軽ジョグ 30分

 木:ジョグ 20〜30分(会話できるペース)

 金:オフ

 土:LSD/90〜120分(走歩混合でもOK)

 日:ジョグ 40〜50分

  ポイント:走る日と休む日を交互に、まず「習慣化」と「脚慣らし」を優先。

② 鍛錬期(実戦力アップ:8〜12週前)
  • 目的:本番ペース(キロ8’30前後)で長く動く感覚を養う
  • 週間走行距離:25〜35km

週の例

 月:オフ

 火:ジョグ 30分(キロ7’30〜8’00)

 水:ウォーク30分

 木:ジョグ 30〜40分

 金:オフ

 土:ロング走 2〜3時間(走歩混合OK/キロ8’30〜9’00)

 日:ジョグ 50分

  ポイント:ロング走を軸に、給水・補給を試しながら「本番想定」の練習を入れる。

③ 直前期(テーパリング期:2〜3週前〜本番)
  • 目的:疲労を抜きながら本番ペースに慣れる
  • 週間走行距離:15〜25km

週の例(大会2週前)

 月:オフ

 火:ジョグ 20〜30分(キロ7’30〜8’00)

 水:ウォーク30分

 木:ジョグ 20〜30分

 金:オフ

 土:ロング走 90〜120分(キロ8’30〜9’00、走歩混合OK)

 日:ジョグ 30分

  ポイント:距離を減らして疲労回復。本番ペース感覚を身体に残す。

 

 

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